best20discs_2011

今年も誰にも頼まれていない年間ベスト20ディスクを発表しちゃうもんね。
しかもカウントダウン式で。ふふふふ。しるか。
ちなみに去年は→こちら

■20位
Tengal6『まちがう』
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最初「ルービックキューブ」を聴いたときにはすごく違和感があって、むしろ苦手だったんですが、この六曲入りミニアルバムに収録されている「Photograph」という曲の切ない心情描写とユニゾンで歌うサビメロに簡単に落涙し、その後が「ルービックキューブ」なんだけど、結構良かったりして。おじさん翻弄されまくり。EAST END×YURIの呪縛を解き放つガールズ・ラップの急先鋒。usa☆usa少女倶楽部のライムベリーとか大阪のSKETCHとか後続のラップ・アイドルの猛追を飄々とかわしていきそうなマイペースぶりが良い。



■19位
Puro Instinct『Headbangers In Ecstacy』
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詳しいことは知らない。アメリカの美人姉妹ユニットらしい。丁寧に重ねられたギターとぼわーんとエフェクトのかかった歌声が可愛いハンドメイド・ポップス。きっちりキャッチーな構成でツボを心得ている感じ。曲間のSEとか実に80年代っぽくて、トレンド30年周期説を実感する。4ADとかチェリー・レッドのオムニバスに入ってそうな曲ばっかりで、カセットテープで聴いてるような錯覚。これをローファイと呼ぶならコクトー・ツインズとかシスターズ・オブ・マーシーとか、ローファイの極致だったよな。



■18位
Dum Dum Girls『Only in Dreams』
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カリフォルニアの四人組。Go-Go'sかよ、と突っ込みたくなるようなベタベタなガールズ・ロック。バタバタしたドラムスが特長でガレージっぽい粗野なスピード感とスミスをカヴァーしちゃうメロディアスな指向性を兼ね備えていて、何とも愛おしい。読み進めていただけるとおかわりになると思うが、どうも今年は80's回帰とグループ・アイドルに傾倒していた年である。Dominant Legs『Invitation』はトーキング・ヘッズとカフェ・ジャクスが合体したようなキラキラ・ファンクで最高だった。さくら学院のユニット=BABYMETALやTwinklestarsも壮絶に良かった。以上、次点的に紹介。



■17位
裸絵札『非処女』
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大阪のデフラグメントからリリースされたオルタナティヴ・ヒップホップの新星。マッシヴなトラックに乗ったエッチで洒落の利いたラップ、と書くと簡単だが、言葉のチョイスと完璧に譜割りされたフロウが恐ろしくアグレッシヴ。「体育座り」の強烈な押韻のフックを初めて聴いたときの衝撃は忘れ難い。ルックスもかっこよくて、ライヴ観たい。



■16位
制服向上委員会「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」
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結成20年を迎えるSKiこと制服向上委員会。アイドル・ブームとは一切関係なく、唯我独尊の暴走ぶりは新聞沙汰になるほど痛快だった。一連の報道で「SKiの言うことは最初から信用しない」と公言したライターがいたが、それは実につまらないことだと思う。政治的な見解は別として、少なくともおれはA.I.S.Aでこの曲を歌い踊る彼女達の輝きに感動して、MCをしながら半泣きだった。それは「誰もやらないことをやる」というアティテュードを持つ者だけが放つ輝きで、滅多に見れるものではない。



■15位
ぱすぽ☆『CHECK-IN』
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去年の秋に初めてライブを見て「ぱすぽ☆は本気でAKBを倒そうとしている」と感想を記した覚えがあるのだが、今年の快進撃はまさにそれを体現していた。ブラック・コンテンポラリーなアプローチの東京女子流、フィリー・ソウルやディスコを昇華するTomato n' Pineの楽曲のクオリティの高さは誰もが認めるところだが、ぱすぽ☆の楽曲も良い。「なぜAKBの曲はダメでぱすぽ☆は良いと言えるのですか、亀吉さんよ」と問われれば沈黙するしかないのだが。だってAKB、ちゃんと聴いてないんだもん。なぜ聴いてないかというと、ルックスが気に入らないからです。ぱすぽ☆は可愛いじゃん。曲もいいし。元気になるし。そう思わん?



■14位
Thurston Moore『Demolished Thoughts』
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相変わらず同じような展開の曲ばかりで冗漫な印象だが、トラッドなアレンジに緩急をつけたストリングスが効いていて、飽きのこない丁寧な作品。プロデューサーとしてのBECKのセンスに尽きる。「取り壊された思想」。残念ながら英語詩のすべてを理解できていないが、このタイトルにただならぬ内省傾向を感じていたところ、サーストンとキムが離婚のニュース。ソニック・ユースの活動も未定のようだ。



■13位
東京女子流『鼓動の秘密』
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2011年最も成長を感じさせたグループ・アイドル。ライヴを見る機会を何度も逃してしまい残念だった。シングル、アルバムとも圧倒的な疾走感とハッピーなキャラクターで一種のステータスを築いた感がある。「ヒマワリと星屑」のグルーヴに小西康陽も舌を巻いた。「Attack Hyper Beat POP」はトーマス・ドルビー以来のハイパー・アクティヴ・ポップス! ローティーンゆえに「もしかして今がピークかも」と思わせる刹那が危ういが、新井ひとみのキュートなルックスがそんな不安と追走するエピゴーネンを蹴散らす。



■12位
ももいろクローバーZ『バトルアンドロマンス』
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早見あかり脱退という取り返しのつかない喪失感を乗り越えて健闘するももいろクローバー。「Z」発表の瞬間を中野サンプラザで体感したが、正直おれの中ではいまだにももクロに「Z」は付いていない。ただ、このアルバムのクオリティには脱帽だ。「ワニとシャンプー」「天手力男」「ももクロのニッポン万歳!」など溢れる冒険心と瞬発力の高い秀曲の連打。2011年のコンテンポラリー・ミュージックのひとつの頂点。



■11位
DORIAN『STUDIO VACATION』
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サマー・ポップ・マエストロ、2年連続の名作をドロップ。ヒップホップ系のトラックメイカーとして名を馳せているが、これはフュージョンの類だと思う。ハウス・ベーシックな煌めくインストゥルメンタル桃源郷。夏、夏、夏。ドリアンを聴けば真冬でも真夏の恋を思い出せるだろう。まったく関係ないが「め・き・ら」という雑誌の名前が「Makin' Love」に由来することに今気づいた。ずいぶん長く刊行されているエロ本だ。女子高生風の制服着衣に特化したハメ撮り誌である。ドリアンとはまったく関係ないことを書いてしまった。



■10位
James Blake『James Blake』
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どういう経歴の人なのか知らないのだが、これはまったく新しい音楽だな、と思った。何物にも似ていない音楽。「マン・マシーン」という名作を引用するまでもなく、いかに無機質になれるかというテクノ黎明以来の命題が一周廻って、機械と身体の境界が融和してしまったのではないかと思わせるような、ボーカライズド・エロクトロニカ。この幽玄さはジョー・ミーク以来の衝撃かも知れない。懐かしいテイストの洋楽か、可愛いガール・ポップ。その二つだけに自分の食指が動いてしまっているのは、よくないことだと思う。来年も「新しい音楽」を聴こうと思う。



■9位
私立恵比寿中学「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」
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ももクロより女子流より「エビ中一週間」を聴いていたのは事実なのです。エビ中のライヴを見てしまうと、ももクロが物足りなくなる。人数的に。ももクロのファンには申し訳ないが、エビ中の方が全体的に可愛い。鈴木裕乃が好きだ。「学芸会」を標榜するグループ・アイドル・ブームの象徴的存在。これからアイドル・グループはどんどんメンバーが減っていくだろう。LinQとか今20人以上いるけど、来年の今頃はきっと6、7人になっているのではないか。本当に美しくて面白いものだけが生き残り、そうでないものは淘汰されるのが2012年になるだろう。エビ中のピークが2011年のTIFでのキョンシー・ライブだったとは思いたくない。ただ、アイドルが好きなら肝に銘じなくてはならない。花の命は短いということを。



■8位
DIRTY BEACHES『BADLANDS』
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これはこないだ松村正人さんに教えてもらったばかりで急遽ランクイン。台湾系カナダ人のソロ・ユニットで、基本的にはサンプリング・ループにボーカルとギターを乗せるだけの単純な構造。BECKがサンプラーだけ持って難波ベアーズに出演してる感じ? パラダイス・ガラージ『ROCK'N'ROLL 1500』でさえもうちょっと凝っていたぞ。しかし、これ凄い。ひとりジーザス&メリー・チェインって感じ。そして、いつだってロックンロールは単純なものだと思い出させてくれる。このクールネスは新鮮。モノラル録音っぽい。



■7位
平賀さち枝『さっちゃん』
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岩手県宮古市出身のシンガーソングライター。からりとしたガット・ギターにチャーミングな語尾の可愛い歌声。彼女が歌うと空気が変わる。耳にした人は誰もが爽やかな風に乗る。2月にサンプルCD-Rをいただいてから本当に毎日聴いてた。キュートなルックスも注目を集めた。来年はもっと注目を集めそうなウワサがちらほら聞こえてくる。いろいろなところで書いたので繰り返しになってしまうが、どんな大物シンガーのチャリティー・ソングよりも、普通の女の子が歌う日常のほうが力強い。さっちゃんは大切なことを教えてくれた。



■6位
JK21「恋のキセキ」
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まったくノーチェックだったのだがTIFで聴いたこの曲にKOされて以来、追っかけ状態。由緒正しいアイドル・ポップスの理念型のようなピュアネスと高揚感に興奮。決してオーラ満開ではないし、抜群に可愛いとは言い難いのだが、普通の女の子たちが一生懸命に歌い踊っているという事実だけで素晴らしい。関西在住の女の子たちで大阪市北区本庄西のアトリエで毎週ライブをしている。この本庄西というのがポイントだ。梅田からも中津からも天六からも微妙に遠い。いちばん近いのは中崎町なのだが中崎町駅からの道順の説明は困難を極める。実に微妙な立地だ。おれは以前、中崎西ハイツというマンションに住んでいたので、そのあたり詳しいのである。そんなことはともかく「恋のキセキ」にやられた私は事務所社長の竹田裕子さんにメールして直撃取材。メンバーへのインタビューは途中から社長の独壇場になり、タレントの在り方、アイドルとしての見せ方などを語ってくれた。普段、表に出ない竹田社長だが後日、渋谷の焼き鳥屋で「このライターさんにはウソをつけないわ、と思って話したんですよ」と教えてくれた。長い付き合いになりそうです。



■5位
島崎智子『バカヤロー!』
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Gラブとミルク・ティーンズが共同プロデュースしたかのような混沌のラップ・チューン「蛙の茹で上がり」でいきなり胸倉をつかまれる。あとは直情のブルースとファンキーなタッチのピアノが繰り出す猛烈なパンチの嵐。豊田道倫に通じる赤裸々すぎる歌詞とファニーな歌声に圧倒される。ピアノ弾き語りのシンガーソングライターだがリズム隊を率いた曲はダンサブルでさえある。「dessin」が描く温かい理想の家庭の風景に落涙。自分にしか作れない物を作るという当たり前のことが届きにくい世界で真に稀有なアーティスト。この人はもしかしたら日本のレディ・ガガかも知れない。



■4位
ジョンのサン『No, Sir.』
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THE SHAGGSを超えるバンドが名古屋から登場した。ナンセンスを演じるセンスの結晶として永代語り継がれるべき名盤。脱力&脱構築。無軌道と見せかけてちょっぴりロジカルな天邪鬼。すべてが断片的なポップスの荒野を徘徊するおかしなやつら。何を考えているんだ。頭がおかしいのではないか。いや、よく見ると実は手ぶらだ。ド天然を気取って媚びないふりをして、煙に巻いたつもりでも本当はチヤホヤされたいんじゃないの。表現とは何か。他人と時間を共有することの意味とは何か。キャプテン・ビーフハートのいない世界で「音楽とは何か」と考えるとき、立石草太の存在は大きい。



■3位
Tomato n' Pine「なないろ☆ナミダ」
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8月17日発売のメジャー第二弾シングル。「キミの大好きな夏が来た」という歌声で顔を上げる。2011年の忘れられない応援歌は、美しいピアノと爽快なストリングスが中心の極上サウンド・プロダクト。「渚にまつわるエトセトラ」が待望の音源化。新曲「FAB」のシュールな歌詞と80'sエレポップ全開のアレンジはデッド・オア・アライヴ級の破壊力で、4ヵ月経った今でも開いた口が塞がらない。



■2位
Tomato n' Pine「ジングルガール上位時代」
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12月7日発売のメジャー第三弾シングルはトマパイのイメージを更新するロック・ナンバー。イントロからしてまるでXTCのように凝ったアレンジで度肝を抜かれた。「聴くたびに新しい発見がある」という常套句があるが、トマパイの曲はリアルにそれがあって「新着メール/ひと駅ごとにチェック」というところでメール着信っぽいSEが入っているのに気づいたのは20回ぐらい聴いた後だ。珍しい恋愛描写にドキドキ。可愛いセリフと絶叫のドラマチックな展開はまさにトマパイ新機軸。全盛期のジャミロクワイがムーンウォークで逃げ出しそうな超絶ディスコ・チューン「ワナダンス!」は12インチで聴きたい名曲。



■1位
Tomato n' Pine「旅立ちトランスファー」
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「いつか振り返る朝/景色見慣れなくなっても/悲しまないでほしい/目に見えないモノ/心が居場所になる」「あっけなく過ぎて/髪も少し伸びて/曖昧な記憶に迷ったら/ちゃんと立ち止まって/もっとイメージして/追いつきたい明日の太陽」。震災の前々日に発売されたトマパイのメジャー・デビュー・シングル。リリース・イベントはすべて中止されたが、それゆえにこの曲は特別な曲になった。ライヴのたびに「音源はないのですか」と訊いていた「10月のインディアン」が収録された幸せ。シーズン1をリセットするセルフ・アンサー・ソング「Life is so beautiful」の勇気。今年もトマパイに耳を奪われた一年でした。
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by kamekitix | 2011-12-13 01:17 | Diary
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