冬の夜のうた

ほぼ終日キングジョーとチャットしているわけだが最近の話題はリリカルスクール。私は断然ライムベリー派なのでリリスクについて「あんな取ってつけたようなサビメロ歌うユニットは嫌いだ。ラッパーとして許せない」などと言って頑として否定的だったのだが、ジョーの
「取ってつけた”ような”ってなんですか? 取ってつけてるんですよ!」
というレスで覚醒した。そうか! 取って、つけてるんや、トーフビーツ! コードも旋律も練りに練り凝った学術的作業の末に産まれるものこそ秀逸だと思っていた自らの浅薄さを幼稚なアカデミズム信仰と反省する次第でございます。
そう悟ると俄然リリスクを聴きたくなって昨秋のアルバム『date course』を再聴。最高だ。こりゃ夏だわー。考えても考えてもわかんないわー。とにかくいまさらながら「リボンをきゅっと」という曲が最高に素敵で、昨日からずっと聴いています。今夜恋愛ごっこしなーい♪もう彼女でいいんじゃなーい♪わたしパーティーオールナーイロン♪ しかし、このMVはまじでひどいですね。

わざとブサイクに撮影して、ひときわブサイクなカットばかり採用したのでしょうか。こんな可愛い曲なのに、ビデオがとびきり可愛くない。この議論はおそらく一年以上前に終息したのだろうが、蒸し返していただきたい。
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ソルマニアの全アルバムを網羅したボックスセット『THE BASEMENT TAPES AND DISCS』。
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CD9枚とDVD1枚の10枚セット。まだ全部鑑賞できていませんが、見ているだけですでに満足感。丸い部分は透明なので、好きなディスクを裏返して嵌め込むといわゆる着せ替えができる仕様。裏面も同様で楽しめる。
大野雅彦さんがグラフィック・アーティストとして最も信頼すべき人物であることはアルケミーレコードのリリース群や非常階段の書籍の装丁で明白だ。想い出波止場も花電車も、カッコイイと思うジャケは全部大野さんによるものだ。ゼロックス・アートが主流だった30年近く前から大野さんのセンスは突出していて、世界中のメール・アート/ノイズ界隈で一目置かれていた。
大野さんとはお互い学生だった頃から文通仲間で(80年代後半、自作のノイズ・カセットを送り合うことを「メール・アート」と呼んでいた)、無数のノイズ・コンピレーションに参加した。初めてお会いしたのはフォーク・テイルズのライブで、あの硬質で凶悪なノイジシャンである大野さんがバイオリンをフィーチャーしたハッピーでサイケなバンドで楽しそうにギターを弾いてるというギャップに驚いた覚えがある。当時わたしは渡辺満里奈を神と崇めるノイズ・バンド(PCCBHS)を主宰しており、それとソルマニアの合体ユニット「ソルマリナ」のライブを一回だけ千日前のスタジオでやったことがあったっけ。こないだ大野さんがTwitterに、私が作ったフライヤーをアップしてくれて思い出した。確か昭和天皇が崩御した年のこと。そう思うと長いお付き合いだ。
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芦田愛菜が可愛くて「明日、ママがいない」を二週続けて見ました。「ポスト」というニックネームの由来が特定の病院を揶揄しているのではないかという点だけが問題で、「児童施設の現状とかけ離れている」とか「偏見によって差別が助長される」とか、そういう論点にズレていくのは滑稽だ。
いつから日本人はこんなに過保護になったんだろう。個人情報保護法以降かな。すべての表現は安楽かつ快適なものでなくてはならないような風潮は正しくない。もっと不愉快で醜怪なものに心を衝き動かされるべきだ。ちょっと迷惑かけあうぐらいがちょうどいい。個人も企業も、唾棄すべきものに金を使おう。もし「作者も含めて全人類が不快だと思う絵」があるとしたら、それは最大級の畏敬をもって鑑賞されるべき、ほんとに凄い絵なのではないか。おれはもっと狼狽し、まだまだ取り乱したい。

豊田道倫『パンとコーヒー』。ほぼ全編ギター弾き語りだがピアノの入った曲やボーカルをエフェクトした短編もあり。昨年からバンド・レコーディングでのリリースが続き、そろそろ不朽の名作『SING A SONG』に続く弾き語りフォーク・アルバムの録音が期待される中、これはCDRで出してしまうのがもったいないぐらいの傑作。このタイミングでこれ出しちゃっていいの、次のアルバム三枚組にするって言ってたのに、などと思ってしまうが、この後先考えてない感じが豊田の魅力。と思わせて考えている。いや、実はやっぱりなにも考えていないのかも。ほんと、わかんない。
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無骨で素っ気ない音楽だ。しかし、この上なく暖かい。このフォームで、こんなに飽きないのは何故だろう。有能な音楽ライターならその謎を解き明かせるのだろうか。とにかく、この人については語り尽くせない。息子と歌いあう「冬の夜のうた」。息子の想平さんの大きな笑い声に、豊田という歌手の途方もなく強靭な意志を見る。静かな冬の夜の歌。かしぶちさんも大瀧さんも佐久間さんも亡くなってしまったが、豊田道倫がいるから(とりあえずぼくは)大丈夫。
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by kamekitix | 2014-01-22 23:08 | Diary
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