池山さん

会社の飲み会でいちばん偉い人が「松本さんは純粋な変態だから」と言って同席者がみんな黙ってうなずいたのを見て「良い会社に就職したなあ」と思う、入社24年目の秋です。



本社に池山さんという先輩がいる。

別の部署なので、一緒に仕事をしたことはない。

エレベーターで一緒になったら挨拶する程度の関係だ。

昔は営業部長をしていたのだが今は降格になって営業サポートの内務をしている。

背が高くて、寡黙なおじさんだ。

おれは本社にいるとき自転車で通勤していたのだが、毎朝だいたい表参道の交差点超えたあたりを歩いてる池山さんを追い越した。

いつも真っ白いワイシャツを着て、姿勢良く歩いていて、かっこいい。

ある日、おれは社会保険の書類を見ていて、池山さんの奥さんが数年前に亡くなられていることを知った。

それ以来、池山さんが出勤する後ろ姿を見るたびに「おれは自分の奥さんを失っても、あんなに背筋を伸ばして歩けるだろうか」と思った。



朝、奥さんがキッチンに置いたミントの枝が根を出していることを嬉しそうに話してくれる。

自家栽培したミントを擦りおろしてシロップを作るのを楽しみにしているのだ。

「根っこ」の発音が名古屋訛りで「根」にアクセントがあるので「ミントの枝に猫がついたよ」と聞こえて何度も聞き直した。

可愛い。

何年経ってもこの人ほんと可愛いなー。

おれはこの幸せを守るために生きているのだと思う。



バイバイ
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by kamekitix | 2014-10-15 00:13 | Diary
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