サマー☆ダイアリー2015パート5

10月25日
朝、千里中央の老人ホームからの電話で起こされる。入居している母が心肺停止で間もなく医師が来て死亡を確認するとのこと。午前8時14分、実母松本不二子逝去。面会のため千里の実家に泊まっていた姉が前夜「高熱が出て意識低下してる」とLINEしてきて「それって危篤ってこと?」と返信すると「長くはないかも。でも今日明日の話じゃない」という旨のレスだったのでのんびり寝てた。おれとは正反対の、竹を割ったような気性で介護福祉士の資格を持ち鋭いジャッジと迅速な行動力を誇る姉が珍しく状況判断を誤ったようだ。満88才の大往生。死因は老衰。病気もせず苦しまず、老人ホームのベッドで亡くなったのは家族としてはありがたいケースだろう。前夜の姉の予測さえ裏切って素早くスッとあの世へいった母の身のこなしに感謝する。午前中に新幹線に乗りLINEで葬儀社手配をしながら千里へ。老人ホームから遺体とともに千里会館に移動。葬儀打ち合わせを2時間。姉は一旦横浜へ戻り、おれは千里の実家で眠る。今年はほんと葬式が多い。いつも義父から借りているのでそろそろ自分の数珠を買おう。

10月26日
「高部あい容疑者」という字面のギャップ、破壊力高い。高部知子なら違和感ないけど。何が起こるかわからないなあ、芸能界って怖い。母の遺影に使う写真をホームから千里会館へ持参。担当営業が人懐っこいよく話す男で憎めない。「新卒のときUSEN受けて落ちました」などと余計なことを言っている。夜、横浜から姉の家族がやってきて千里セルシーの屋上の居酒屋で会食。義兄に会うのは15年ぶり。よく呑み、よく話す人たちで実に楽しい。一家は千里会館の、ホテルのスイートルームのような豪奢な遺族用控室に宿泊。おれは今夜も千里の実家。

10月27日
朝9時から葬儀。妻が新幹線でやって来た。参列者は姉の家族四人とおれと妻の六人。他の親族は参列せず、葬儀社に依頼して供花も電話受付の時点で拒否するという排他的な態度を徹底したのは故人の遺志による。亡骸を焼いている間にタクシーで千里中央へ移動してみんなで昼食。妻の挙動は常に的確かつ清楚だ。火葬場から斎場に戻って初七日法要を前倒しで。坊主への支払だけで25万。ええ商売やのう。骨壺と遺影を抱いた姉とおれは老人ホームの部屋の片づけがあるので大阪に残り、義兄・甥たち・妻は新大阪からそれぞれ帰宅。その新幹線の中でも妻の気遣いが絶妙だったらしく、姉が「何故あんたみたいなヘンな男にあんな素敵な奥さんがいるのか」ということを何度も言う。夕方までホームの居室を整理。夜は姉と二人で実家で晩酌。6才離れた姉とサシで呑むのは生まれて初めてかもしれない。母の四十九日が、28年前に死んだ父の命日にあたり、そのロマンチックな巡り合わせに姉は「そういうことか」などと言って感激した様子。おれは「そういうこと」にはあまり共感しない性質だが「確率としては1/365にすぎない」などと野暮を言うのは止しておいた。
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10月28日
母が晩年の10年を過ごした特別養護老人ホームの居室を正式に解約し、明け渡し。思えばおれの親不孝をすべて受け入れてくれた施設であり、最大限の感謝に堪えない。母の介護に関わったすべての職員の皆さんに感謝。特に平井さんというまだ20才ぐらいに見える長身の美女が実にキュートでまた会いたい。姉は横浜へ戻り、おれはキングジョーと梅田東通りで夕食。のぶちゃん、ビノシュ。また山のように本を貸してくれた。有り難いが、重い。

10月29日
ゆっくり起きて千里中央の市役所へ。各種社会保険の喪失手続を完了。未払の年金が二種類あるらしく、これをおれの名義で受け取るのが結構面倒臭そう。しかし今回の滞在はすべての用事が千里中央と桃山台で完結して、豊中市は便利だね。久しぶりによく働いた。神経は脆弱だが、意外と頑健な肉体に産んでくれた亡母に改めて感謝。正午の新幹線で名古屋に戻り、四日ぶりにわが家に帰還。

11月5日
会社のすぐ前のコメダ。突発性難聴で休職中のK君とコーヒー。本人は復職する気満々だが診断書の内容がNGでもう一か月休職を延長。しかし特筆すべきはこのコメダに勤務するウエイトレスの美しさである。スラリとしたプロポーションで実にきれいな顔をしている。左利きらしく、左手でグラスを置いているのも萌える。制服のポロシャツが身体に密着しており、胸がペタンと平たくて、ほとんど乳房がないのがまた可愛い。この子のイメージビデオどこかで売ってないだろうか。あったら定価で買う。読書はジョーが貸してくれた友成純一「獣儀式」。ひたすらグロテスクを極めたホラー小説。肉でできた人柱の描写が強烈で夢に出てきそう。

11月7日
飴村行「粘膜兄弟」が面白くて、500ページほどの文庫だがほとんど一日で読んでしまった。読むの遅いおれにとっては記録的な高速。愛する人たちが死にまくる友成純一を読んだ後なのでむしろハッピーな読後感。終盤出てくるキーパーソン(爬虫人)の名前が「亀吉」で大いにシンパシー。

11月12日
昼から東京。ランチは渋谷東交番近くのチリチリでカレー。歩いて青山まで。社長室での撮影立ち合いなど有意義な時間を過ごす。珍しく働いたわ。懐かしい顔が多くて楽しい。夜は渋谷。智子さんとラーメン凪、ワイン酒場で夜半まで。大好きなホテルメッツ。

11月13日
新卒一年生の研修・面談と、2017新卒採用ツールの取材。道玄坂の会議室と道玄坂登り切ったところにある自社ビルで並行。渋谷でも懐かしい人たちにたくさん会う。夜は恵比寿のKITSUNEで一年生懇親会。人事課長が締めの挨拶してるのに後ろの席でギャーギャー騒いでるやつらにキレる。経費で飲む宴会で学生ノリの社員は許せない。とはいえ二回りも年下の子たちだからなあ......。2004年入社の人事課長に「拓也さんがキレるの見たのは自分の入社式以来です」と言われる。11年半ぶりに怒鳴った。そのまま深夜までKITSUNEで打ち上げ。夜は快適なホテルメッツ。今回の出張のスケジューリングは完璧。素晴らしい人事部。

11月20日
有休をとって朝から妻の運転で亀山の寺へ。来月の納骨を前に墓の砂利などを整えたいという妻の発案だ。こんなアイディア、一生かけてもおれには出てこない。亀山のサービスエリアで伊勢うどんとソフトクリーム。昼には東海市に戻り、市役所と年金事務所で亡母の年金についての手続。しかし、まだ銀行の手続を何もしていない。何をどうしていいかわかってないので来月大阪で信託銀行に相談してみよう。夜は妻が買ったブロックスというボードゲームで遊ぶ。ルールは単純。定石を見出したり、相手の手を読んだり、という駆け引きはまだできていないが、微妙に頭を使うようで、刺激が心地よくて面白い。間違っていつの間にか入会してしまっていたアマゾン・プライム。ストリーミングのコンテンツが面白くて大いにハマる。映画は「旅の重さ」「冬の華」など70年代の邦画を観た。音楽も充実していて、これiPhoneで聴けるからiTunes要らないんじゃないか。だってSteely DanもDorianもSpyro Gyraも全アルバム聴けてしまう。勤務先の自社製品と思い切り競合するが、これで年会費3,900円は決して高くない気がする。

11月25日
ぴあ関西支社の和久田善彦さんが編集された安田謙一さんの新刊「神戸、書いてどうなるのか」を送ってくれた。安田さんにもさっそく感想メール。この日記とは別にブログで感想を書こう。会社で突然名古屋支店長の本社異動が発表されてフロアに衝撃が走る。今年の一月に東京から転勤してきたばかりの若くてかっこいい青年で、クールに見えるが心根は熱く、一年足らずで部下たちのハートをがっちりつかんでいた。部下を守るために上司とケンカできる人。上司の顔色ばかりをうかがうひとが多い中で稀有な人材だが、こういうひとに限って出世しちゃうんだよねえ。

11月27日
TOKUZOで「カンパニー松尾の世界」。山口雅さん主催のシリーズ・イベントで、今回は海外モノという括りで「TANGO」(2012)と「YOGA」(2008)の上映。どちらも紀行ドキュメントとして秀逸で、特にアルゼンチンで撮影された「TANGO」は松尾さんの片想い、思い込み、そういうのひっくるめた「子供っぽいおとなの純情」みたいなものが炸裂していて、超面白くて、泣ける。「YOGA」は対照的にドライな求道者のすれ違いが描かれていて、この二本のセレクトは絶妙だった。上映後に松尾監督とふたりでトーク。いつにも増して挑発的な物言いになってしまい失礼だったと反省。でも松尾さんの、いまだに整理のつかない、渾然としていて複雑な、こじらせちゃってる男の本音をステージで引き出すことができて良かったかと。雅さんは逆に「笑えるTANGO、泣けるYOGA」と言われていて、女心はわからないものだ。

12月4日
栄五丁目の吉野家で牛丼を食べてから鶴舞のKDハポンへサイクリング。大好きな冷牟田敬のライブ。ソロ演奏を観るのは初めて。轟音エレキギター弾き語り。エフェクター、サンプラー、リズムマシーン。すごく良かった。でも短すぎる。冷牟田くんだけで二時間は見たい。MCが冴えていて「この曲はやらなくていいんだけど」とか、最前列のお客さんに「こんな近くにいるのに大きな音出してすみません」と言ったり、準備に手間取ってウロウロしながら「ウロウロしてますね」、アンコールに応えて再び登場するなり「ほんとにこんな音楽好きですか?」など爆笑トーク連発。昆虫キッズではあまりの無口さに留学生と間違われていた寡黙な冷牟田くんがよく喋る。何度も書くけど三年前に死んだ弓場宗治が目指してたショーはこれだったのではないかと思った。ドゥルッティ・コラムとシューゲイザー。シュー・ゲイザー(靴を見つめるひと)とスター・ギャザラー(星を集めるひと)は似ている。「シューティング・スター・システム」を提唱したのはジギー・アテムだった。こんなことを書くひとはもうおれしかいない。麓健一さんは4年前のアルバム『コロニー』が好きで一曲目でいきなり「ロンリネス凧」をやってくれたので嬉しかった。曲も声もほんと好き。ルックスも好きよ。ぼくが20才の女子なら逆ナンしてます。小森清貴さんは声質からしてポップでメジャー感があるので、こんなアンダーグラウンドなところにいちゃダメだ、と思った。特におれなんかとつきあっちゃダメ。売れるものも売れなくなる。まるでシスターポールやミックスナッツハウスのように。まったく予備知識のなかったマツバナオキさんのバンドもすごく良かった。おれはDJと称して転換時場内音楽係を担当。HELLAの同じ曲二枚使いで流したら次々とひとが寄ってきて「HELLAですね!」と声をかけられ、HELLAの人気に驚いた。会社の美弥ちゃんも来てくれて嬉しくて幸せな気持ちで金山駅まで自転車で帰る。最終の普通かな、いや、それより早い急行があるかな、などとホームの掲示板を見ながら階段を降りていて、最後の一段を踏み外し、思いきり尻餅をついてしまった。DJやるのにノートPCを入れてていつもよりリュックが重かった。左足首を捻って激痛。「折れたかも」と思いつつ特急に乗り込みながら妻に電話。家の最寄駅まで10分。下車したホームから改札まで歩けない。けど片足でぴょんぴょんして何とか迎えの車に乗って帰宅。足の甲がソフトボールみたいに腫れているので西知多総合病院の救急外来でレントゲン。骨折していないようだが「明日必ず整形外科に行ってください」との診断。夜勤の先生がめちゃイケメンで可愛くて、妻と見惚れる。痛み止めと貼り薬もらって2時に帰宅。ベッドに上がれないのでソファに布団を運んで眠る。

12月5日
朝から自宅近くの整形外科へ。ずいぶん年季の入ったレントゲンで念入りに診てもらう。骨折は回避されており、捻挫で全治四週間との診断。松葉杖を借りて歩く。来週予定していた大阪出張は不参加を決め込み各位にメール。栄の事務所までは通えるだろうか。来週末は母の四十九日で三重県の寺で納骨があるのだが......。千里中央の実家に置いた遺骨や位牌を運んで往復しないといけない。とりあえず現状では無理だなあ。治り具合の進捗による。「こまった。すみません。どーしよー」と姉に相談LINE。
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by kamekitix | 2015-12-05 19:46 | Diary
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