『テレクラキャノンボール2013』

『テレクラキャノンボール』を観るのは5年ぶり二回目だ。今回も実に華麗な戦士ばかりでその奮闘ぶりを満喫。10時間の壮大なDVD作品である。前回『2009』で優勝したビーバップみのるはダイヤモンド☆ユカイと石井モタコを混ぜてアフロにしたようなチャーミングな青年だが、テレクラや出会い系を使わないストリート・ファイターで、そのトークが実に洒脱で軽妙だ。「今からビックリする話をしてもいいですか?」と声をかけた女性のリアクションにピー音が入って「逆にビックリさせられた」というくだりは何だったんだろう。とにかくみのる君の釣果はキレイな女の子が多くて個人的には優勝していた。ハマジムの梁井一という監督を初めて観たがちょっとオリエンタルラジオみたいな感じだけど誠実そうでカッコイイ。おれが女だったら喜んで付いていく。しかし、この梁井くんが出会い系で変態ばっかり引き当てる。そのチャレンジングな姿勢も優勝に匹敵。タートル今田さんには豊田道倫の撮影で一度お会いしたことがある。すごくキレイな目をした人で、おっとりした話し方と他人に接する優しい態度のブレなさに惚れる。おれが女だったら喜んで付いていく。h.m.p.の嵐山みちるという青年がまたキュートで、これはもうおれが女だったら喜んで付いていくレベルの最高峰。山下さんや松尾さんは言わずもがなの紳士であり猛者。とにかく出演者がみんなチャーミングで一週間一緒に過ごしたような気分になるので、観終わるとすごく淋しくて、すぐにもう一度再生したくなる。あー楽しかったなー。



もう全編突っ込みどころ満載で、観たら誰でもいろんなことを語りたくなる作品だし、すでに多くの人が語っているだろう。ましてや今回は2時間に凝縮した劇場版が公開されていて広く話題になっているようなので、私などはここで簡単に感想を述べるにとどめよう。

いちばん強く感じたことは、この爽快感や笑い、煩悶、涙などはすべて精緻に構築されたルールの中でのみ生じている、という当たり前のことだった。車両で走るレース部分は道路交通法との戦いだし、セックス・レースは細かい加点制に則っていて、彼らはそのルールと戦う。
『テレクラキャノンボール』に登場する人たちは全員いわゆる「社会通念」から逸脱している人ばかりだ。ハンディカメラで撮影しながら違反スピードのバイクを片手で運転するし、醜怪なルックスの女性たちと壮絶な痴態を繰り広げてそれを不特定多数の他人に公開している。通常の世間一般、健全な巷間では、向こう見ずで横紙破りで粗暴で荒くれた変態だと思われてしかるべき、常識から逸脱している人たちだ。そんな彼らがルールの中で悪戦苦闘しているというギャップが『テレクラキャノンボール』の魅力の源泉だと思う。

ルール制定会議のシーンも映し出されていたが、常に政治的な側面をもつ「ルール」というものを彼らは極めて民主主義的に決議した。その中で、最も非人道的なルールを自ら実践して意義を付与し、身体を張って勝負に出たカンパニー松尾の「落とし前をつける」という言葉。私は、あの、松尾さんがプラス8点を勝ち取った第5ステージの雄姿は日本中の企業のマネジメント研修の教材としてはもちろん、リーダーシップの重要性を啓蒙すべく先進国首脳会議G8の晩餐会でも上映されるべき名シーンだと思う。

では最後にこの愛すべき狂宴について、いくつか気になったことを。

多くの人が彼らの戦いに物語を投影して観ていたに違いないので、山下さんとみのるくんが登場人物を『北の国から』に喩えるシーンは邪魔に思えた。そもそも『北の国から』を一分も観たことがないおれには疎外感さえあった。あのくだりは劇場版ではどうなっているのだろう。

あるジャンルに免疫のない人にはショッキングなシーンがある。しかし、これは前述の感動的なシーンにも不可欠なので厄介だ。

『テレクラキャノンボール』はあまり有名になりすぎてはいけない。誰もが知るイベントになってしまうと、次回開催のときには界隈のナンパ情報を聞きつけた女性たちがハメ撮られを期待してホテルの周りに集合するという可能性があり、それでは意味がない。メジャーになったら成立しなくなる企画だというジレンマを孕んでいる。

登場人物の喫煙率が高く、タバコを喫いたくなる。



バイバイ
[PR]
by kamekitix | 2014-04-22 00:26 | Review
←menu