名盤カウントダウン_98_HIGH RISE 『PSYCHEDELIC SPEED FREAKS』

「フールズ・メイト」に山崎春美さんが寄せた「うるさくてぜんぜんきこえない」というタイトルのレビューがこのバンドとの出会いだった。1984年。

敬愛する春美さんが久しぶりに雑誌で激賞しているハイ・ライズに興味を抱き、17才のおれはアメ村のキングコングでLPを買った。
300枚限定で裏面にシリアルが入っていて今では貴重盤かもしれない(今ヤフオク見たら29,800円だった)。
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モコモコに歪んだライブ録音で、英語らしきボーカルはもちろんスネアの音さえ判然としない。
主に聞こえるのは狂ったスピードで律動し高低するベースと、ほぼ全編打ち鳴らされているシンバル類。
演奏されているだろう細かいギターの技巧やドラムスの凝ったフィルインとかそんなんもういちいち記録せんでもわかるやろ、みたいな、まさに「うるさくてきこえない」アルバム。
粗雑で乱暴な音塊には味わったことのないイマジネーションと猛烈な疾走感、高揚感があり、その寡黙さと無骨なパッケージングも相俟って、このアルバムを特別なものにしている。

いまでも「よくわからないけど鮮烈なもの」を観ると「サイケデリック・スピード・フリークス」という言葉が思い浮かぶ。
一昨年の「オールザッツ漫才」で観た粗品という芸人さんのフリップ芸を「サイケデリック・スピード・フリークス」と評したっけ。

オフマスク00が主催した大阪でのライブも観に行った。
ハイ・ライズ、ボアダムズ、オフマスクというメンツで「虚無への供物」という秋井さんらしいイベント・タイトルがついていた。
このイベントが実はボアダムズのデビュー・ライブで、これ以降十数年にわたりおれは熱狂的なボアダムズ信者となるわけですが。

おれが持っているハイ・ライズの音源はもうひとつあって、これは武田さんという友人が送ってくれた、東京でのライブ・カセットだ。
久しく聞いてないけど、たしか大阪の実家に保管してあるはず。
「サイケデリック・スピード・フリークス」よりも鮮明に録音された武田さんのカセットのほうが好きで、北大阪急行の線路沿いを歩いて桃山台のうどん屋「太鼓亭」へバイトに行くときウォークマンで爆音で聴いていた。

自分はあまり「ロック」という言葉を使わないし「ハードロックが好きだ」と言ったこともないし「おれはパンクスだ」という自覚ももちろんない。
そもそもロックって何だろう。

ハイ・ライズを聴くと、自分のコアになっている風景が呼び覚まされて、嗜好の源泉を掘り起こされるような、瑞々しい気持ちになって、積年の疑問が少しクリアになる。

バイバイ
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by kamekitix | 2014-07-19 00:05 | Review
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