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名盤カウントダウン_96_S'EXPRESS『ORIGINAL SOUNDTRACK』

私は1985年に大学に入って90年に卒業したので輝ける80年代後半をとてもアンニュイなモラトリアム・キッズとして満喫することができた。

85年は豊田商事事件と日航機墜落。86年は岡田有希子自殺。87年はおニャン子クラブ解散。

多感期にこのような陰惨で衝撃的な事件を目の当たりにしてしまったので、88年以降は渡辺満里奈に魂を預けることとなった。91年にフリッパーズ・ギターが「夏休みはもう終わり」と宣言するまで、私は『NOTE BOOK』という写真集を教典とする「マリナ教」に帰依する敬虔な渡辺満里奈原理主義者だった。

精一杯アイドルに現を抜かしつつ、ダンス・ミュージックも好きだった。

シカゴで発祥したアシッド・ハウスが輸入され、チープなビートにスクラッチとサンプリングだけ、みたいなレコードをたくさん買っていた。

世界的にそういうのが流行っていて、こんな平坦でなんの展開もないナンバーが何週間も全英チャートの1位だったんだよ。

M|A|R|R|S 「Pump Up The Volume」

わたしはBomb The BassやBABY FORDが好きで、RHYTHM KINGのロゴの入った作品を無条件に信頼していた。BETTY BOOもRHYTHM KINGだったなー。ほんとよく聴いたわ。

アシッド・ハウスのクールネスにロックのイディオムを折衷したロンドンのレーベル=RHYTHM KING RECORDSの中でもひときわ異彩を放っていたチームがS'EXPRESSだった。

ファースト・アルバム『ORIGINAL SOUNDTRACK』、ピクチャー盤のLPとCDをいまも持ってる。
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他のアシッド・ハウス系のアーティストに比べて、下世話なほどにゴージャスでドラマチックな展開が特徴のS'EXPRESSの戦術は、平坦でトリッキーなものが重宝されていたトレンドに一石を投じるものとなり、いわばカウンター・カルチャーとして発生したアシッド・ハウスと王道のポップスを邂逅させるという成果を得た。



S'EXPRESS「Superfly Guy」


S'EXPRESS「Hey Music Lover」

この潮流はその後、POP WILL EAT ITSELFの演じる狂騒や、のちに大きなムーヴメントに発展するHAPPY MONDAYSを中心とするマンチェスター勢の地盤になったような気さえする。

アシッド・ハウスはブラック・コンテンポラリーへの親和性からネナ・チェリー『Raw Like Sushi』のような名盤を産みつつ、一方でサウンドを先鋭化して、よりシンプルでソリッドなテクノ、エレクトロニカへ発展していったんだろうね、くわしく知らんけど。

バイバイ
by kamekitix | 2014-09-03 14:49 | Review
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