名盤カウントダウン_91_David Sylvian 『Brilliant Trees』

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スリリングかつラグジュアリー。
聴くたびに新しい発見のある、宝箱のようなアルバム。
1984年リリース。
80'sポップスの歴史に名を残すべき名盤中の名盤だと思います。

坂本龍一が80年代初頭に好んで使用したシンセの音色、あの時期特有のタメの効いたアレンジで、穏やかなグルーヴを作っています。
ジョン・ハッセルの独特のトランペットに、稀代の奇才・ホルガー・シューカイのオリエンタルなトッピングが施されます。
リズム隊はJAPANからの盟友、ジャンセン=バルビエリの二人。
そして、ブライアン・フェリーがニューウェーヴ・シーンに与えた最も大きな影響である、あの感情の起伏を抑制した歌唱法で、極めて内省的に歌うシルヴィアン。
鉄壁の布陣です。



JAPAN時代にはビジュアル路線でアイドル視されていた彼がイメージの払拭を賭けたソロ・デビュー・アルバムでした。

でもJAPANはJAPANで『Gentlemen Take Polaroids』や『Tin Drum』など後期のアルバムは大好きです。
JAPANの特徴はうねり上げるようなミック・カーンのベース・ラインにあり、JAPAN解散後にカーンがBAUHAUSのピーター・マーフィーと結成したDali's Carと、この『Brilliant Trees』を聴き比べれば、JAPANのサウンドがいかに変態的であったか、逆に『Brilliant Trees』がいかに洗練されているか、がわかるでしょう。
いや、ミック・カーンを貶すつもりは毛頭ありません。ただ、未来永劫聴かれ続ける普遍的な音楽、という点で考えると彼のベースはあまりに特異だったかもしれません(ご冥福をお祈りしています)。

シルヴィアンはJAPAN在籍時から坂本龍一とコラボレートしていたので、このソロ・デビュー作に坂本が大きく寄与するのは当然のように思われました。

ラストの「Brilliant Trees」。エンディングの4分間が圧巻です。

何度聴いても不思議なアウトロ。
アンビエントであり、教会音楽風であり、雅楽のようでもあり、南の島の音楽のようでもあり......まったく国籍不明です。

その後、シルヴィアンは意外と途切れなく作品をリリースし、旺盛な制作欲求を見せています。
エポックとなった2003年の『Blemish』ではデレク・ベイリーとフェネスを繋ぎ、大友良英や秋山徹次も参加した『Manafon』(2009年)では、フリージャズ、エレクトロニカを通過した、何とも名状しがたい素っ裸のボーカリゼーションを聴かせています。

美貌とセクシャリティが売り物だった若き面影はすっかり払拭され、孤高の音像作家としてクールな熟成っぷりが期待されます。
1958年生まれだから、来年57才。
元美少年代表、初老の星ですね。

バイバイ
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by kamekitix | 2014-11-30 22:31 | Review
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