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名盤カウントダウン_89_ZUINOSIN 『蕊』

変拍子ロックの歴史を辿るとキャプテン・ビーフハートからザッパ、プログレに行き着くのであろうが、日本のパンクに限って言うと、あぶらだことボアダムズが後進に与えた影響は甚大だと思う。

彼らは従来の転調、混合拍子やポリリズムといった概念に加えて、もともとけっこう急展開に作られた小節をもう一度分断して編み直すような、複雑で緻密なカットアップ、アレンジを施し、鍛錬を重ねて演奏した。

ボアダムズはそれらにハードコアの文脈を、あぶらだこは文語体の歌詞をのせて、どこにも存在しなかった新しいロックを発明し続けた。80年代末期から90年代にかけての話である。

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2000年の大晦日に結成されたというZUINOSINはドラムス兼ボーカル、ベース、ギターというシンプルな編成のバンドで、猛烈なテンションで複雑怪奇な演奏をしていた。

吉田ヒロのギャグを思わせるフロントマン・砂十島NANIのアクションは、同時にボアダムズが山塚吉川のツイン・ボーカルだった時期のコミカルさをも想起させた。
とにかく面白くて、何度もライブを観に行った。

彼らは正に変拍子パンクの最終到達地点を提示していた。



2005年にデフラグメントからリリースされたこのアルバムは当時の彼らの放熱がパッケージされた歴史的な一枚だ。

複雑な楽曲の再現性にも感嘆するが、ぼくがいちばん驚いたのは歌詞カードが付いていたこと。
NANIが叫び散らしていた何語ともつかぬシャウトが可視化されていて、その再現性にも驚いた。

ヨシカワショウゴのビジュアル・デザインも圧巻で、ステージでのコスチュームやロゴ、アルバムの装丁などもクオリティが高く、他のボアダムズ・フォロワーを凌駕した。

「変拍子パンクの最終到達地点」については2007年にリリースされたHOSOMEのアルバム『NEW FASCIO』に更新されてしまったように思う。

しかし、ZUINOSINのファッション性がスケートボードやってる若者たちとかに支持されていれば、もしかしたら今ごろフェスでヘッドライナーを務めるようなビッグ・ネームになっていたかもしれない。
そう思えるぐらい彼らの先鋭性はポップでカジュアルだった。

3年前にぼくがDOMMUNEに出演したとき、見に来ていたカコイヨシハルが話しかけてくれた。

いろいろあってZUINOSINは終わってしまったが、いまはBACK DROP BOMBに加入して寿千寿という名前でギターを弾いていると教えてくれた。



バイバイ
by kamekitix | 2014-12-06 23:55 | Review
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